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POEM

君が思い出になる速度

変わらないものだけ変わらずにいれたら。
季節の隙間に隠して、閉じ込めた。

高架線、揺られた夕日の影ふたつ。
思い出はいつだって甘い匂いがした。
これでいいや。

不揃いな歩幅がいつの間にかズレて。
曖昧になるのは気付かないふりをしてた。

恋をしてた季節から
離れすぎてたみたいだ
サヨナラの速度に追いつけないや。

街角のパン屋を通り過ぎたら
君が、居てるかな?
そんなことばかりが頭に浮かんだ。
春先はまだまだ遠いような気がしてた。
いつになったら君に会えるかな。
強がってみせたよ。

公園で見かけた君に似てる人と
すれちがうたびに目を合わせないんだ。
馬鹿みたいだなぁ。

使い捨てのカメラと君がみせた笑顔が
春らしく、寂しくて。
遠く霞んですり抜けた。

触れたのに離したら言葉なんて出ないな。
くだらなくて笑えたよ。
これも君のせいだ!

街角のパン屋を通り過ぎても
君が居ないこと、気付いてた。
…そんなことわかっていたけど。
思い出はまだまだ近いような気がしてた。
いつになっても君に会えないな。
いつになったら君を忘れるかな。

 

コスモノート

星降る夜にいつか出会えたなら。
『初めまして』にまた、『さよなら』を告げるから。
笑ってみせて。

今夜は星が綺麗と、なんて呟いてみる。
八月の夜空に。
叶えた願い事すら、バツの悪さにすぐ笑顔だけ取り繕ってた。

触れてしまえばまだ遠く、霞んでいく。
散りばめた未来は、数えきれないほどに。

星降る夜に君を抱きしめたよ。
思い出せないまま。
繋いだ手を解いて。
星降る街で君を見つけた日には。
夜明け前から、手を振ったこと、気づいたよ。

見つけた宝物さえ胸の奥に仕舞えず、確かめる術もないまま。

空の端っこから見えた一番星。
天気予報は雨。
ふりだしに戻れたら。

星降る夜に言葉、交わしたなら。
手遅れなんて、まだ認めずに繋いだよ。
星降る街を君と見下ろした日は。
さよならがもう、手遅れなこと分かったよ。

土砂降りの雨。
君のいる場所。
行方知らずでも。
数えきれない手紙を書いた。

『君は今、何をしてるの?』

問いかけても、虚しいはずだ。
気付いていたのに。
分かってたのに。

星降る夜に君と出会えたなら。

『初めまして』は、まだ届かなくてもいいよ。
星降る街で君と笑い合ったら。
優しい嘘も本当のことも知ってるよ!

星降る夜が終わるその前には、伝えなきゃいけなくて。
涙も見せないから。
夜明けの街で君を見送ったから。
最後なんだって、泣いたあとでも歩いたよ。